東京大学大学院新領域創成科学研究科
先端エネルギー工学専攻 核融合エネルギー科学講座(連携講座)
西浦研究室

西浦研究室は2013年10月からプラズマ物理と先進核融合に関する研究を開始しました。
(主要な招待講演と論文は研究業績を参照。)
実験室に惑星の磁気圏プラズマを再現し、その形成と安定閉じ込め状態(自己組織化)の物理解明に取り組んでいます。
惑星探査機では分からない物理現象を解き明かすとともに、プラズマの生成、加熱、計測、
シミュレーション手法を新規に開発し、先進核融合による究極のエネルギーの開発研究を進めています。

2017年3月と2018年3月の2年連続で修士学生が日本物理学会学生優秀発表賞を受賞しました。
重要な研究成果は国内や海外の学会で積極的に論文として発表することを薦めています。

研究内容

RESEARCH

自然界のプラズマから倣い・その本質を追及します。

惑星磁気圏は最も自然の形で存在するプラズマの形状であり、
効率の良い安定したプラズマ閉じ込めを実現しています。
その安定閉じ込め状態の本質を理解するとともに、それに倣い革新的なプラズマ閉じ込めを実現すること、
その応用として先進核融合による究極のエネルギー開発を目指した研究を進めます。
プラズマの内部構造を解明するための新しい様態モダリティデバイスを開発し、高速現象の可視化に挑戦します。

参考:東京大学新領域創成科学研究科の紹介記事
「磁気圏型プラズマ装置RT-1のプラズマ物理実験:
実験室磁気圏プラズマから核融合エネルギー開発研究」
2018年 創成31号 Frontier Sciences 1(8ページ)

RT-1のプラズマ圧力と電子密度の関係

現在の核融合研究の主流であるトカマクやヘリカル方式では、プラズマ圧力は磁場圧力の1/10程度です。これに対して、木星の磁気圏では磁場圧力と同程度のプラズマが非常に高効率で閉じ込められています。

磁気圏型の高性能プラズマを人工的に作り出す事が出来れば、経済性に優れた先進的な核融合炉実現への応用が可能になります。木星磁気圏のプラズマ平衡の数値計算・高速流の動圧の効果により、超高βプラズマ閉じ込めが実現されます。

実験室において惑星磁気圏環境を作り出し、高い局所プラズマ圧力(βe>1)を達成しました。更に高性能プラズマ生成を目指します。

磁気圏型プラズマ装置RT-1

超伝導磁気浮上コイルを真空中に浮上させ、ダイポール磁場を発生し、惑星磁気圏を模擬。
磁気圏を模擬したプラズマの自己組織化現象の探求。
高ベータプラズマの安定生成。

プラズマ生成,
加熱クライストロン
(8.2GHz, 100kW, 1秒)

キャッチャー
応答時間<0.1秒

浮上コイル
超伝導材Bi-2223, 温度<30K
外径0.375m, 重量110kg, 実験時の電流116A

引き上げコイル
(浮上コイル引上げ用)

浮上コイル制御
レーザー距離計

プラズマの自己組織化現象の解明

木星等の惑星磁気圏ではプラズマが密度勾配に逆らう向きに拡散し、
プラズマ自身がその形状を維持し続けていることがVoygerの観測等で明らかになっています。
外力により制御されていないにもかかわらずプラズマが自分自身の形状を形成する自己組織化現象を解明するために、
計測器の高度化とプラズマパラメータ領域の拡大の研究を進めています。

  • ミリ波干渉計・レーザー散乱による電子密度・温度の空間分布計測による認識様態モダリティとその制御。
  • 波動加熱手法の開発とその結果生じる高速イオン流によるプラズマ安定閉じ込めの追及。
  • コヒーレンスイメージング手法によるイオン流速の可視化。
  • ポッケルス効果を利用した精密電界計測手法の開発とその応用。
プラズマ診断

RT-1プラズマと計測したX線像
加熱手法・計測器開発
  • 非協同トムソン散乱
  • コヒーレンスイメージング分光
  • 密度再構成手法
  • ポッケルス電界センサー
  • モード変換電子加熱
  • 磁気ビーチ加熱
■静電プローブ

周辺電子密度、電子温度、プラズマポテンシャル

■軟X線検出器

高温電子エネルギースペクトル

軟X線検出器
■可視分光

トロイダル流速、イオン温度等

可視分光
■磁気ループ

プラズマ蓄積エネルギーベータ値

可視分光
■ミリ波干渉計

線平均電子密度、電子密度プロファイル

ミリ波干渉計
RT-1プラズマ実験結果(複雑な振る舞い)
渦に引き寄せられながら加速する粒子
渦に引き寄せられながら加速する粒子

イオン温度の非等方性の観測
高周波電界分布シミュレーション結果

高周波電界分布シミュレーション結果

磁気圏プラズマのイオン加熱に成功

磁気圏プラズマのイオン加熱に成功

■電磁波によるプラズマ波動加熱物理
イオンサイクロトロン加熱のためのアンテナモデル 電磁波によるプラズマ波動加熱物理

最先端計測によりプラズマを可視化
~協同トムソン散乱計測による荷電粒子追跡~

ITER等の核融合を目指した高温プラズマでは、核融合反応により高エネルギーアルファ粒子が発生します。
プラズマ中に閉じ込められたアルファ粒子や高速荷電粒子の、計測手法の開発が望まれています。
電磁波の散乱を使い、電子のコレクティブな運動から
イオンの速度分布関数を計測する手法(協同トムソン散乱Collective Thomson Scattering:CTS)の開発と、
2次元速度空間上の粒子マッピング解析を進めています。
  参考: M. Nishiura et al. “Spectrum response and analysis of 77-GHz band collective Thomson scattering diagnostic
for bulk and fast ions in LHD plasmas”, Nuclear Fusion 54(2014) 023006, 1-10.

プラズマ中の電磁波散乱の原理図プラズマ中の電磁波散乱の原理図 協同トムソン散乱計測システムを利用したイオン速度分布関数の計測結果協同トムソン散乱計測システムを利用した
イオン速度分布関数の計測結果
協同トムソン散乱計測システム 協同トムソン散乱計測システム
大型ヘリカル装置LHD大型ヘリカル装置LHD ミリ波受信機ミリ波受信機

高速イオン誘起ガンマ線計測

核融合プラズマから損失してくる荷電粒子をモニターする手法の開発は装置の健全性を確保するうえで重要です。
実験とシミュレーションから、新たなアイデアを取り入れた計測器を提案していきます。

究極のエネルギー 熱核融合炉(ITERなど)
ITERのポロイダル断面のイラスト
ITERのポロイダル断面のイラスト

星や太陽を輝かせている核融合反応は究極のエネルギー源として潜在的
能力を秘めている。

■DT反応
d + t → α (3.5 MeV) + n (14.1 MeV)
d : deuterium, t : tritium
ガンマ線イメージング実験
ガンマ線イメージング実験

3.5 MeVアルファ粒子の
効率的な閉じ込め

エネルギーを炉心プラズマの
自己加熱に利用

医療用のPET検出器を応用して、高エネルギーガンマ線計測器の開発を行っている。


9Be(α, nγ)12C反応によるアルファ粒子が誘起するガンマ線計測例

研究業績

PUBLICATIONS

INVITED TALK

  • 1)M. Nishiura et al.,“Experimental approach for understanding self-organized plasma transport in laboratory magnetosphere RT-1”,2nd Asia-Pacific Conference on Plasma Physics, November 12-17, 2018,Kanazawa, Japan.
  • 2)M. Nishiura, “Progress in the Dipole Plasma Experiment RT-1”,19th International Congress on Plasma Physics, June 4-8, 2018,Vancouver, Canada.
  • 3)M. Nishiura,“Experimental Physics of Magnetospheric Plasma in RT-1”, 1st Asia-Pacific Conference on Plasma Physics, 18-22 September 2017, Chengdu, China.
  • 4)M. Nishiura et al., “Recent Progress of Collective Thomson Scattering Diagnostic for LHD and Design Study for JT-60SA”, The 5th International Workshop on Far-Infrared Technologies 2014(IW-FIRT2014),5-7 March, 2014, Univ. of Fukui, Japan.
  • 5)M. Nishiura et al., “Initial result of collective Thomson scattering using 77 GHz gyrotron for bulk and tail ion diagnostics in the Large Helical Device”, 14th International Symposium on Laser-Aided Plasma Diagnostics, 21-24 September 2009, Treviso, Italy.
  • 6)西浦正樹他,“核燃焼プラズマにおけるアルファ粒子計測”, 第3回プラズマ科学シンポジウムPSS-2009/SPP-26, 2009年2月2-4日,名古屋大.

RECENT PUBLICATIONS

  • 1)M. Nishiura, Y. Kawazura, Z. Yoshida, N. Kenmochi, Y. Yano, H. Saitoh, M. Yamasaki, T. Mushiake, A. Kashyap, N. Takahashi, M. Nakatsuka, A. Fukuyama, “Ion Cyclotron Resonance Heating System in the RT-1 Magnetospheric Plasma”, Nuclear Fusion 57 (2017) 086038, 1-6.
  • 2)M. Nishiura, Z. Yoshida, T. Mushiake, Y. Kawazura, R. Osawa, K. Fujinami, Y. Yano, H. Saitoh, M. Yamasaki, A. Kashyap, N. Takahashi, M. Nakatsuka, A. Fukuyama, “Electro-optic Probe Measurements of Electric Fields in Plasmas”, Review of Scientific Instruments 88 (2017) 023501, 1-8.
  • 3)Masaki NISHIURA, Zensho YOSHIDA, Yoshihisa YANO, Yohei KAWAZURA, Toshiki MUSHIAKE, Haruhisa SAITOH, Miyuri YAMASAKI, Ankur KASHYAP, Noriki TAKAHASHI, Masataka NAKATSUKA, Yuichi TAKASE, Atsushi FUKUYAMA, “Increase in Ion Temperature by Slow Wave Heating in Magnetosphere Plasma Device RT-1”, Plasma and Fusion Research 11 (2016) 2402054, 1-4.
  • 4)M. Nishiura, Z. Yoshida, H. Saitoh, Y. Yano, Y. Kawazura, T. Nogami, M. Yamasaki, T. Mushiake and A. Kashyap, “Improved beta (local beta >1) and density in electron cyclotron resonance heating on the RT-1 magnetosphere plasma”, Nuclear Fusion 55 (2015) 053019, 1-5.

メンバー

MEMBERS

研究室で核融合科学研究所を見学して来ました。

インターンシップ短期留学生
・2018.6.24-8.3 Lan Wenhong
・2017.6.5-7.14 Manica Nagpal
・2016.6.6-7.15 Sheetal Jain
・2015.6.29-8.7 Lei Chon Lock
・2014.6.23-8.7 Niall Francis Byrnes

共同研究

COLLABORATION

連絡先

CONTACT

東京大学大学院新領域創成科学研究科先端エネルギー工学専攻

〒277-8561 千葉県柏市柏の葉5-1-5

居室 電話 : 04-7136-5560 研究室 電話/FAX : 04-7136-3991/3992

nishiura@ppl.k.u-tokyo.ac.jp

※ 研究室見学希望の場合は、事前に連絡下さい。