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プラズマ燃焼物理実験
~α粒子加熱
シナリオの検証~

プロジェクトの概要

核融合研究は炉心プラズマの乱流場が支配する径方向輸送に左右されるとの考えに基づき発展してきたが、自立燃焼プラズマを生 成し,閉じ込め特性を評価することは容易ではない。本プロジェクトの目的は、核融合炉の成否の鍵となる「α粒子加熱による自立 燃焼の成立性」を模擬実験で検証することにある。

背景

核融合プラズマ中の燃焼状態の物理を理解するためには、その温度,密度状態を実験的・数値的に模擬し、複雑現象から重要となる物理現象を的確に抽出しなければならない。そうすることで効率の良い小型核融合炉の実現も可能になる。近年、核融合スタートアップ企業やダイポール装置の研究が活発に行われているが、ここでは強磁場ミラー装置によるプラズマ燃焼物理の模擬実験を提案する。核融合炉のトレンドはトカマクのようなトーラス装置が主流であるが、ここでは単純な軸対象ミラーシステムを考える。これまでの直線装置は磁場が低く、電子密度が10^20m^-3、電子温度10keVのプラズマ生成は困難なため、低温プラズマ実験やプラズマ照射実験に使われてきた。核融合燃焼に必要なプラズマを模擬するにはイオン温度Ti~10keVを閉じ込め可能な強磁場領域が必要である。

図 本研究がターゲットとする密度・温度領域
目的

核融合研究は炉心プラズマの乱流場が支配する径方向輸送に左右されるとの考えに基づき発展してきたが、自立燃焼プラズマを生成し、閉じ込め特性を評価することは容易ではない。本プロジェクトの目的は,核融合炉の成否の鍵となる「α粒子加熱による自立燃焼の成立性」を模擬実験で検証することにある。

図 本研究の物理検証実験。
(a)従来のプラズマ実験,
(b)α粒子加熱による核融合燃焼シナリオ,
(c)本研究の燃焼プラズマ模擬実験
研究方法

超伝導マグネットによる強磁場プラズマ閉じ込め装置とメガワット級ジャイロトロンを用いることで、従来の直線ミラー装置やダイポール型装置の課題であった高密度化を実現する。燃焼プラズマではDT反応で発生する3.5MeV-α粒子による自己加熱でプラズマを維持するシナリオが想定されている。強力な電子サイクロトロン加熱による電子加熱で燃焼プラズマを模擬し、Te~Tiの熱平衡状態への緩和の成立性とそこで励起される乱流やAlfvén不安定性に由来する熱・粒子輸送・損失について、従来のモデルとの比較検証を実施する。

図 超伝導直線装置と強力な電磁波による
電子加熱により、燃焼パラメータでプラズマの
特性を明らかにする。プラズマ燃焼を検証する。
研究環境

LHD-ECHシステムは定常MW級のジャイロトロンを有する。その施設を利用して、研究を実施する。既存の超伝導マグネットを有効活用し、プラズマ閉じ込め装置や計測器の開発を進める。

図 核融合燃焼を模擬するための
加熱入力パワーの比較

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